
感情は自然発生的なもので、コントロールできないものだと思っていないでしょうか?しかし、ある程度、いや、かなりコントロールすることができます。
感情をコントロールする方法
悲しい気持ちになったり、怒りながら幸福を感じることはできませんし、幸福感と感情は密接に関わっています。
感情をコントールすることができれば、自分にとって不快な状態を避けることができ、より幸福に生きることができるようになります。

何気ないことを少し意識するだけで、感情はある程度コントロールできるよ!
①感情の種類を知る
感情には数種類あります。(詳しくはプルチック感情の輪の記事に記載しています。)
感情というものを理解するときに特徴的なのは、「これは怒りである!」と断定的に判断できないところです。
感情は、怒りと寂しい気持ちが混じっている、というグラデーションで存在しているのが当たり前で、雲のようにフワフワとしており、はっきりと断定したり言語化することが難しいものです。
いわば感情は捉え所がないため認識することが難しく、コントロールすることが難しいのです。
では、どうやってコントロールすれば良いのでしょうか。

②感情の発生する機序を理解する
感情をコントロールするためには、感情の発生する原因を知る必要があります。
感情は、
- (外界からの)刺激→
- 認識(認知)→
- 感情
の順で発生します。
この中で、自然発生的なものでコントロールできない部分は、最後の「感情」の部分です。
それまでの、
- 刺激
- 認識
の段階は変えることが可能です。
つまり、「刺激」と「認識」をコントロールできれば、不快な感情を発生させないようにすることができます。
③刺激を変える
具体的に、まず、刺激を変える方法についてです。
刺激とは、自分の周囲から受け取る情報全てのことです。「環境」全てと考えてください。
- 外で浴びる日光
- 空気
- 周りを歩く人の視線や声
- 身につけている衣服の着心地
など全てです。
よって、環境を好ましいものに変えていくことで、刺激をある程度コントロールすることができます。

身の回りに”気持ち良いもの”を増やしていくと良い感情で過ごしやすくなるよ!
特に現代社会では人間関係がストレスの元になっていることは大変多いので、分かりやすく最も効果があるのが、
- 嫌いな人と付き合わない
- 嫌なことをしない
ことです。
お付き合いをしていて、なにか嫌な人だな、自分には合わないなと思ったら、あからさまに嫌うのではなく、少し距離を置いてできるだけ近づかないようにするなど、「極端な反応を取らないこと」が人間関係を円滑に済ますコツです。
人間関係は、完全に断つことは難しいものです。
嫌いな人であろうと完全に関係性を断つことはできないと思っていたほうが精神的に楽です。
ではどうするかというと、折衷案として、
- 好きな人には近付いていく
- 嫌いな人は距離を置く
ことをおすすめします。
物理的な環境も整える
人間関係だけではなく、物理的な自分の周囲の環境も整えることで、不快な感情にならず生活することができます。
寝具を変える
例えば寝具を自身の好みのものに変えると、気持ちよく就寝することができます。
そうすると、翌日のイライラした感情は抑制され易くなります。
衣服を変える
身に付ける衣服も、動きやすい、肌触りの良いものを着るようにします。
私の場合ですと、スーツをずっと着ていると肩が凝り、疲労感が蓄積してきます。黒っぽくて質感の固い服は体が重たくなったような印象を受けます。なので、出来るだけ最低限必要な時間しかスーツは着ません。
部屋の掃除をする
部屋の掃除をすることで、すっきりした気持ちになります。
また、雑多な物に埋もれてしまい、無くし物が増えることがあります。部屋を掃除して整理整頓することで、イライラしながら物を探す時間が減ります。意外とこういう細かいことが幸せな生活を過ごすために大切です。
通勤時間を変える
電車通勤の方は、満員電車を避ける時間帯に通勤するだけでも1日に感じるストレスを大幅に減らすことができます。できれば満員電車に乗らなくても働ける職業に転職するのが理想です。
私は学生時代に満員電車が嫌ということもあり、理学療法士の資格を取りました。ここ数年満員電車には乗っていません。
③認識を変える
感情コントロールするために、刺激を自分にとって心地よいものにすることが先決ですが、そうはいっても、例えば職場や家庭など簡単に環境を変えることができない場合もあります。
この時に有効な方法は自分の刺激の受け取り方、つまり認識を変えることです。
刺激を受けた後の認識を変えることで、不快な感情を発生させないようにすることができます。
認識を変えるためには、一方方向からの視点だけでなく、多面的な視点を持ち、柔軟に見方を変えることができる必要があります。
何か人に言われても、
- そういうふうに捉える人もいて当然だよね。
- 今日は機嫌が悪いのかな?
- ふ〜ん、そういう考え方もできるのか。
という風に、捉え方を変えることで怒りや不快な感情を感じにくくすることは可能です。
そもそも、他人の行動や言動が不快だからといって、他人の言動を控えさせるとか、行動を変えさせることはできません。
変えるれるのは「自分の捉え方」だけです。

多面的な視点を持つためには、色んな環境にいる人とたくさん会うこと!
▶︎カウンセリングで使われる、具体的に認識を変える方法について
周りに期待し過ぎない
他人に期待をし過ぎないことも重要です。
会社や仕事の愚痴をいう人の話を聞いていると、上司や社長は部下や社員のことを理解しようとしてくれていて当たり前だ、という前提で考えている人がよくいます。
例えば、
- 上司は自分よりも仕事ができて当たり前
- 上司や友人は部下の気持ちを理解してくれて当たり前
などという誤った認識を改めることで、日常生活の中で怒りを感じる頻度をかなり下げることができます。
当然ながら、上司が必ず自分よりも仕事ができる、という訳ではありません。
上司だけでなく、親や子供、家族、恋人なども同じです。
基本的に誰も自分のことを理解してくれないし、何も自分のためにしてくれないものだと普段から思っていれば腹が立つこともありません。
もし何かしてもらえたときには、すごくラッキーなことです。目一杯感謝することができます。
諦観する
仏教の言葉で、「諦観」という言葉があります。
漢字では「諦めて観る」という意味ですが、意味は「本質を明らかに見て取ること」とされています。心理学的には、「自己バイアス(自分に都合の良いように物事を認識すること)」を取り除いて、物事を事実のまま受け取ることだと筆者は理解しています。
常に本質は事実とセットであるのですが、私たちの認識にバイアスがかかっているため、事実を事実のまま受け取ることが難しくなっていることがよくあります。
まとめ
感情そのものをコントロールすることができませんが、感情が発生する機序をたどり、
- 刺激を変えること
- 認識を変えること
で不快な感情を自分の中に芽生えさせないようにすることはできます。
生物の五感で感知するすべての情報は外界の刺激として感覚器に入力されます。
- 何となく気持ちいい
- 触り心地が良い
- 安らぐ
- ゆっくりできる
- 安心する
- 良い匂い
こういった、大量に無意識に浴びている刺激を強く意識し、自分にとって心地よい環境を自ら作り出すことで、本能的に怒りや嫉妬などのネガティブな感情は芽生えにくくなります。

感覚的になんとなく心地よいモノ・コトを選んでいくことで徐々に生き易くなるよ。
急に自分の周りの環境激変させることはできませんが、1年に1つでもいいので何か心地良いものを自分の周りにおけるようになれば年々幸せに生きることができます。
実は、幸福度は「将来にわたって良くなる見込みがあるかどうか」とも深く関係しているといわれています。
こういった取り組みをすることで、「年々少しづつでも良くなる」という感覚が自分の中に目覚めれば、それだけで幸福になれる可能性が高くなります。
筆者の好きな言葉で「小さなことからコツコツと」という言葉があります。まさしくこれから人生100年時代。小さなことをコツコツと無理なく続けていけるようになると、この時代の恩恵をたくさん受けて幸せに生きることができるのではないでしょうか。