PERMA(パーマ)とは?幸せになるための5つの要素

幸せになる方法は人によって違いますが、共通する要素は科学的に明らかになっています。今回は、幸せになるための要素「PERMA(パーマ)」についてご紹介します。

質問

幸せになる方法って人によって違うよね?趣味嗜好、感じ方や好きなことは人によって違うのが当たり前だし…

ニシノ

たしかに!人によって幸福の形は様々ですよね。しかし、”人”という部分では皆共通しているので、科学的に幸せになるための”要素”は解明されていますよ!PERMA(パーマ)と呼ばれています。

動画

ポジティブ心理学の幸せを構成する5つの要素「PERMA」の意味とは

男の子

幸せになるためには日々の生活の中で以下の5つの要素を満たすように心掛ける必要があるよ。

PERMA(パーマ)はマーティン・セリグマン氏らが提唱したポジティブ心理学において、幸せになるための5つの要素のことです。それぞれ以下の頭文字を取っています。

ポジティブ感情(positive)

文字通り、前向きな明るい感情のことです。

心理学者のバーバラ・フレドリクソンは、代表的なポジティブ感情として以下の10種類を取り上げています。

  1. 喜び…思わず笑顔になるような感情
  2. 感謝…与えられた何かについてその価値を認めたときに湧く感情
  3. 安らぎ…今の心地よさをじっくり味わっている感情。
  4. 興味…新しい物事に関心を抱き、心を突き動かされる感情。
  5. 希望…絶望的状況の中で、可能性を信じる感情。
  6. 誇り…自分の能力と努力を信じて何か上手くできた時の感情。
  7. 愉快…心から面白いと思った時に湧いてくる感情。
  8. 鼓舞…奮い立つような感情が湧いて心が熱くなっている感情。
  9. 畏敬…鼓舞よりも、スケールの大きい素晴らしさに出会った時に感じる感情。
  10. 愛 …相手への興味から始まり、様々な喜びをもたらしてくれます。

これらの感情が日々の生活の中で感じられると幸福感が上がります。

特に、「感謝」は重要で、ポジティブ心理学では感謝の効用として、幸福感が高い人は感謝する人である、としています。

感謝は、自分のことしか考えていない(自己中心的な)人には持つことが難しい感情で、感謝の感情を感じることは、すなわち、「人間社会の中で受容され、活かされている=私には繋がりがある」という感覚を持つことに等しいのではないでしょうか。

自己中心的な自分から社会的な役割、責任を考慮し、周りの人へ心から配慮できる存在になることで、受け入れられ、感謝することができ、幸福度が高まるといえます。

熱中(engagement)

「何かの作業に集中していて、気が付くと何時間も経っていた」という経験はありませんか?

この経験を心理学者のミハイ・チクセントミハイは「フロー:flow」と呼んでいます。

時が立つのを忘れるほど何かに熱中している状態は、幸せに深く関係していることが明らかになっています。

”フロー”について詳細は下から。

ちなみに、私の場合、中学生の頃にエレキギターの練習に熱中しており、「気がつくと3時間経っていた!」という強烈な経験をしています。

フローを経験することでのメリットは以下になります。

フロー(熱中・没頭状態)のメリット

フローには様々なメリットがあります。

1、短時間での高い生産性が両立する

これからの日本社会で必須の課題、「生産性向上」にぴったりです。

フローをコントロールできれば、短時間で驚くほど高品質な仕事ができるようになるといわれています。世の中でビジネス分野で成功している人は、必ずフローを経験しているはず。

2、幸福感が上昇する

フロー中は幸福感はありませんが、終わった後に充実感と共に幸福感が上昇するとされています。「う〜ん、気持ちいい!」という感じですね。

人間関係(relationship)

成人発達研究の調査としてヴェイラントらが行ったもので、ハーバード大学卒の男性たちとボストン育ちの貧しい男性たちの2つのグループ(約700人)の調査で、なんと75年!に渡って””幸せの要素””を研究した結果、

家柄、学歴、職業、家の環境、年収や老後資金の有無といったことではなく、人間の幸福度、健康と直接的に関係があったのは人間関係だった。

友人の人数は関係なく、たった一人でも心から信頼できる人がいるかどうかが重要。

対人関係がうまくいっている(信頼できる人がそばにいる)状況では、緊張がほどけて脳が健康に保たれる、心身の苦痛がやわらげられる効果が見られた一方、孤独を感じる人は病気になる確率が高く、寿命が短くなる傾向もある。

という研究があります。

人は誰かと結びつきを感じた時に幸福を感じます。

これは、太古の時代から人間は一人ではあまりにも脆弱な生物なため、お互い弱点を補い合い、強みを活かし合いながら関係性を構築し、生き残ってきたためだといわれています。

つまり、人間関係に満足していると、「原始的・本能的な生きることへの安心感」を抱くことに繋がり、それが幸福感の元になるのでしょう。

一人でいる時の方が安心するという人もいますが、あくまで短期的なものです。長期的な目で見ると、必ず誰もが人との結びつきを求めます。

安心でき、たった一人でも良いので、心の通う、温かい人間関係があると人の幸福度は向上します。

意義(meaning)

人はなんの意味も感じられないことをやっていると大きなストレスを感じます。

文豪ドストエフスキーは、意義の感じられない活動を下のように表現しました。

【究極の拷問】

シベリアに流刑された男は、半日かけて穴を掘り、半日かけてその穴を埋めるという強制労働をひたすらやらされた。朝、自分で掘った穴を、午後には自分で埋める。そんなふうになったら、誰だって生きる意味が見出せなくなる。何の意味もない単純作業を延々とやらされると、やがて人は精神に異常をきたし発狂する。

出典:ドストエフスキー著作『死の家の記録』

人は、意義が感じられないことを続けることは絶対にできません。

しかし、不思議なもので、どれほど大変で辛くて苦労するようなことでも、それを上回るだけの意義や意味を感じることができれば、人は幸福感すら感じることができます。

これが俗にいう”生きがい”と呼ばれるものの正体だったりします。

達成感(achievement)

仕事でも趣味でも、目標達成のためにやり遂げた時、大きな達成感を感じ、幸福に感じます。

さらにやり遂げたことが自信になり、新たなことに挑戦する勇気が湧いてきます。

合わせてV(Vitality)も重要

最近では、上の5つの要素に加えて、バイタリティのVも加えた方が良いのではないか、という議論があります。

バイタリティとは、生命力や活力、活気のことです。

当たり前のことですが、身体が健康な時の方が上の5つの要素を感じやすくなるためです。活力を沸かせるためには、

  • 良質な睡眠
  • 健康的な食事
  • 適切な運動

が必要です。これらに取り組むことで幸福度を上げることができます。

幸福度を上げるPERMAの具体的な質問

以下の質問に答えると、人生の幸福度が上がります。
  1. 前向きな感情(positive)…どんな時にポジテイブな感情が沸きますか?
  2. 熱中(engagement)…熱中していることはありますか?どんな時に時間を忘れるくらい夢中になりますか?
  3. 人間関係(relationship)…誰といるときにほっとしますか?楽しいですか?大切にしたい人は誰ですか?
  4. 意義(meaning)…意義のある活動だと感じることはなんですか?やりがいを感じ時はどんな時ですか?
  5. 達成(achievement)…どんな時に達成感を感じますか?成し遂げたとして、誇りを感じるものは何ですか?

この5つを考えて、普段の仕事、生活での細かなことを決定していくと幸福度が上がるといわれています。

PERMAのうち何が足りていないか?振り返ることが大切

どこか生きづらいと感じ、幸せな感覚を得られない時期が、誰にも、長い人生の中で必ずあるものです。

その時に、上のPERMAの中で何が足りていないか考えてみると心の安定が得られます。

 

私の過去の経験では、本業と副業、子育てや地域の活動など、色々と手を出しすぎた時期があります。

そのときは精神的に心底疲れ果てました…。

「もうこれ以上何もやりたくない!」と叫びそうなくらい消耗したことがあります。(涙)

 

そこで、私は一旦全てを辞めました。(正直にいうと、もうこれ以上続けることができなかったんです…。)

自分の普段の生活を振り返り、PERMAのうち何が足りていなかったのか振り返ってみると、まず、達成感(achievement)でした。

色々やり過ぎて、何もかも中途半端!達成感を感じることを何一つやっていない!

ということに気付きました。

また、全ての作業がマルチタスク化(同時進行)していたため、何かに熱中(engagement)する時間も取れずにいました。

そこで、本当にやりたいことだけに作業を絞り、自分が本当に必要と感じないことは「全てやらない」ようにしました。意義(meaning)を問い直したんですね。

何かに熱中できるのは、私の場合、「多くても2つのプロジェクトまでだ」ということが理解できるようになりました。

 

皆さんも、「頑張ってはいるんだけど、なぜかしんどい…」というときは、日々の生活で上述のPERMAの要素が欠けていないか一度振り返ってみると良いかもしれません。

特に今の時代は、マルチタスク(同時進行)が常態化しています。

私と同じように生活に

  • 熱中(Engagement)
  • 達成感(Achievement)

が欠如し、

意義(meaning)を感じられないこと続けてしまっている…という場合も多いのではないでしょうか。

世間で断捨離やシンプルライフと呼ばれるものが流行っているのは、ここらの幸せの要素を取り戻そうとする無意識の動きなのかもしれませんね。