幸福度と抽象度

ポジティブ心理学や幸福学など、どうすれば人が幸せになれるのか?を勉強していると、抽象度を上げることがすごく重要なことに気付きます。なぜでしょうか?

抽象度とは?

抽象度とは、日本の認知科学者の苫米地英人さんの造語で、ざっくり言うと、どれだけ物事を広い視野で見れるか?ということです。

例を挙げるとと分かりやすいと思います。

”犬”を抽象度を上げ下げして考えてみましょう。

抽象の反対は、”具体”です。

犬を具体的にしていくと、

  • チワワ
  • ブルドック
  • 柴犬

など犬種になります。

さらに具体性を上げていくと、

  • タロー

など自分が飼っている犬の名前になります。

 

逆に、犬の抽象度を上げていくと、

  • 動物

さらに上げると、

  • 生き物(動物だけでなく、植物も含まれる)

という感じです。

 

PCの場合だったら、抽象度を上げると、

  • モバイル端末(ノートPCの場合)
  • 情報通信機器
  • 機械

と捉えることもできますよね。

そうすると、

  • PCとスマホは同じ(機械だしモバイル端末だから)

ということもできます。

つまり、抽象度を上げることで、より本質的・概念的な捉え方になります。逆に、抽象度を下げる(具体化)することで、より具体的・固定的な見方になります。

よって、抽象度を上げて物事を捉えることができるようになると、包括する概念が多くなり、抽象的でより俯瞰した考え方ができるようになります。

いわゆる一般的に言われる、

  • 俯瞰して考える
  • 視野を広く

という状態になります。

抽象度を上げるメリットとは

抽象度を下げて具体化していくと、より細部を捉えることができるようになります。

上述の例では犬を、

  • タロー

と認識することによって、”耳が少し折れている”など、タローの特徴を捉えることができます。(情報量が多い状態)

逆に抽象度を上げると、

  • 生き物

となるので、「犬は私たち人間と同じである」ということもできますよね。

つまり、”犬”という固定的、断片的な見方から、抽象度を上げ下げすることによって、

  • タロー
  • 生き物
  • 動物

など、一つの事から様々な情報を得ることができます。

つまり、抽象度を操作できるようになると、物事を俯瞰して多様な視点が身に付くということです。

幸せに生きるためになぜ抽象度の理解が必要か?

幸せの4因子(やってみよう因子、ありがとう因子、あるがまま因子、なんとかなる因子)の中で、なんとかなる因子を向上させるために、抽象度の理解が必須です。

なんとかなる因子とは、なにか問題があったとしても、なんとかなる!と前向きに考えられる因子のことです。

生きていれば、大小はあれど、必ず何かしら、みな問題を抱えています。

問題を解決しようとするとき、抽象度を上げ下げして考えることができないと、物事を多角的にみることができず、行き詰まった感覚を覚えます。そうなると、なんとかなる!と思えないものです。結果、幸福度が下がってしまいます。

「仕事でミスしてしまった!もう終わりだ…」と一つの問題で思考停止して思い込んでしまうかもしれません。

なんとかなる!と思える人は、何か問題があっても多角的な視点から問題を捉え、「これがだめならこの方法がある、なんとかなりそうだ」と思えるものです。

二元論の記事でも書いていますが、人生の幸福度を上げるためには、操作できない人生の出来事に囚われることなく、出来事をどう解釈するか?が最も大切です。

そのために抽象度を上げ下げすることは非常に有効です。

幸せの4つの因子のうちの「なんとかなる因子(前向き)」を向上させるためには、抽象度を上げて物事を考えることが大切です。

問題解決の糸口を使みやすくなり、より幸福度が高く、幸せに生きられる可能性が高くなります。

能動的な幸せは知恵により作られる

抽象度という概念を作り出した天才苫米地英人氏の書籍を私も数冊持っていますが、彼は「IQが高いとは、抽象度が高いということである。」と言っています。

私が行っているセッション(ジンセイコンサル)でも、抽象度のように、幸せに生きるための知恵をどのように使っていけば良いか?ということをメインにお話しています。

 

一般的に、人生で幸せな出来事がたくさんある人が幸せな人だと思ってしまいがちですが、実際は気分が塞いでしまうことが起きない人生を送っている人などいる訳がありません。みんな、長い人生でなにかしら心が重くなるような出来事が起きています。

しかし、知恵のある人は、起きてしまった問題に対して俯瞰し、多角的な視点で解決策を探します。

自分で思いつかないときは詳しい人に相談してみたりして、あらゆる方法を考えます。

そうこうして「なんとかなる」と前向きな気持ちになることができ、幸福度高く生きられるのです。

 

仏陀も言っていますが、この世で起きる出来事は「ほとんど全てが縁(えん)」です。私たち人間ごときがいくら頭で考えても人生で起きる出来事を完璧に操作できる訳はありません。せいぜい、頑張っても操作できるのは2割くらいでしょう。

スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が提唱したキャリアの理論で、「計画された偶発性理論(プランドハップンスタンス)」がありますが、あれも「8割が偶然で職業を選んでいる」という理論ですよね。まさしくその通りだと思います。

私たちが「これがやりたい!」と自分で選んだと思っている仕事も、今の時代に私たちが生まれた、という縁(偶然)があるからそう思うのです。(江戸時代に生まれてWEBデザイナーになろう!とは絶対に思わないですよね。)

この世で起きる出来事は、ほとんど全てがご縁(偶然)です。

私たちはその中で、「自分の意思で選んだ!」と錯覚しているに過ぎません。

 

なので、自分の人生に幸せな出来事ができるだけ多く起こるようにしようと考える大切ですが、それよりも、偶然ご縁で起きる出来事をどのように捉えるか?の方がもっともっと大切だと私は思っています。

幸福度は知恵(=知識を上手く使う事)で上げることができます。

ぜひ、抽象度の概念を理解して、より大きな幸せを感じて欲しいと思っています。