”無駄で、非合理的なこと”をすると幸せになれる

現代の時代の転換期に伴い、道徳的であるとされていたことが非道徳的になり、合理的であることが合理的でなくなってきています。

どういうことでしょうか?

VUCA(ブーカ)とPlanned Happenstance(計画的偶発性

今の時代の傾向が理解しやすい言葉を二つご紹介します。

VUCA(ブーカ)とは

VUCAとは、

  1. Volatility(変動性・不安定さ)
  2. Uncertainty(不確実性・不確定さ)
  3. Complexity(複雑性)
  4. Ambiguity(曖昧性・不明確さ)

という4つのキーワードの頭文字から取った言葉で、現代の経営環境や個人のキャリアを取り巻く状況を表現するキーワードです。

プランド・ハップンスタンス(計画的偶発性)

プランド・ハップンスタンスとは、明確なキャリアプランは必ずしも必要なく、偶然の出来事や出会いを味方に付けるようなポジティブ・シンキングによって、キャリアアップを図ることができるという理論です。

少し前は、新しくサービスや商品を作るときに、市場調査を行い、統計データを取り、顧客のニーズに合ったものを作るのが当たり前でした。いわゆる”マーケットイン”という考え方です。

それが現代では、マーケットに合わせたやり方ではなく、プロダクト中心でサービスや商品の設計を行うことが増えてきています。こちらはプロダクト中心の考え方なので”プロダクトアウト”といいます。

これはアップルのiPhoneが世界的に爆発的に広がった2008年頃からの傾向です。

それまでは各携帯会社がマーケットインの考え方が中心で、同じようなデザインの同じように使いやすい携帯電話を毎年のように発表していましたが、売り上げが徐々に下がっていました。

マーケットインの考え方が広く普及したので、みんな同じ考え方で同じ製品を作っていたんですね。

 

そこに急遽現れたiPhoneが市場を席巻します。アップルは市場調査を全く行わないことで有名な企業で、完全にプロダクトアウトのやり方で当時の携帯電話の市場を席巻したのです。

実際私たちの周りでも家電や役に立つものは身の回りに溢れ、わざわざそれらを欲しいと思う人は少なくなっています。逆に”自分にとって意味があるもの”を求める傾向が強くなっており、例えば、役には立たないけど、好きなアニメのグッズ等は”意味がある”ので積極的に購入される傾向があります。

これらの例からもわかる通り、現代では合理的に動くことがもうすでに飽和しています。

 

例えばブログであれば、Googleの検索エンジンの検索上位に表示されることを狙い、SEO対策を施した記事を書くのが”マーケットイン”の考え方です。(私も以前はこのやり方でやっていました。今はエッセンスだけ取り入れて無視しています笑)YouTubeでも同じで、市場に合わせて、今流行っているコンテンツを模倣するやり方などがあると思います。

しかし今の時代は、私が上に述べたようなマーケットインとプロダクトアウトのような考え方は、調べればすぐに誰でも、全くの素人でも理解することができます。SEO対策も同じです。

そうなると今度は、マーケットインで対象者のニーズを拾うやり方は飽和し、なかなか認知してもらうことが難しいのではないでしょうか。

”普通のやり方”以外のやり方

一方で「サードドア」という著書があります。こちらも今の時代を特徴をよく捉えていると思います。

こちらは、成功するためには3つ目のドアを”こじ開ける必要がある”という旨の書籍です。

1つ目のドアは、真正面から人が集まるドアを競争で勝ち抜いていくという戦略。99%の人が入ることができない、とされています。

2つ目のドアはいわゆるVIPのような、お金持ちや特別な権力を持っている人が開けられるドアです。

私のように何もない普通の人間は、第3のドア、つまり”普通の人が通らないドアを開けて成功にたどり着くしかない”という話が述べられています。つまり、普通のやり方はあえてせず、皆がやらないことをどんどん試していくしかないということです。

レディー・ガガなども自身でファンのふりをしてレコード会社に何十件も電話したり、奇想天外なやり方を実践し続けて成功したそうです。

 

つまり、成功するためのやり方を勉強し、合理的に行ったところで、今の時代では成功が難しいという何とも皮肉な時代になっています。

自己啓発本の類は昔からありますが、あらゆる成功するための方法論は、その人のやり方であったから成功したというだけで、当然全ての人が同じやり方をして成功するわけではありません。

今の時代は、自分に合ったやり方を見つけ、なおかつ”皆がやっていない戦略”を考えて実行することが重要になるようです。

  1. 無駄なお金は使わない
  2. 無駄な人とは付き合わない
  3. 無駄な時間は使わない

という生き方が今は注目されているように感じますが、だいたい本人が”無駄”と思っているだけで、本当に無駄なのかどうかは誰にも分かりません。

何気なく暇つぶしに行った交流会で誰かと出会い、新しい人生の転機が訪れることだって意外と多くあるものです。しかし、いくら賢い頭のキレる人でもそんな偶然を考えて予め想定できているはずがありません。

これからは合理的や効率性を無視したところから新たな可能性が見出されるのではないかと思っています。

とはいえ、むちゃくちゃにやると、ただのカオス、混乱するだけになります。

では、何の規則に従って発想したり、自身の行動を決めていけば良いのでしょうか?

直感とひらめきで”絵を描こう”

ここで出てくるのが「アート・シンキング」と言う考え方です。

つまり、あなたの直感を信じて行動してみるということ。

自分が信じていることや直感、ひらめきを大切にし、それを熱量を持って発信したり、他者を巻き込んでいくことで何か新しい道が開けてくる可能性があります。

そのためには、「自分が何を信じているのか」を明確にしなければなりませんし、直感やひらめきを押さえつけてしまうような「自分の中の常識や思い込みを外せるかどうか」といったことが大切になってきます。

不道徳幸福論

私は、このブログのタイトルを「非道徳幸福論」という名前にしました。

まさしく、この常識や思い込みを外せるかどうかといったところで、あえて「非道徳」という言葉を使っています。本当に非道徳的に生きることを推奨している訳ではなく、常識や道徳を一旦脇に置いておくことが今の時代に大切だと考えています。

これからは合理的に生きるとか効率的に生きるというよりも、感覚的・直感的に生きることがおそらく大切になってくる時代になります。

つまり、前時代の合理的な考えは、今の時代の非合理的考えであるということです。

もちろん全てが非合理的になっていくわけではありませんが、「あえて合理的でないことを選択することが合理的である場合もある」ということを頭の片隅に置いておくと良いのではないかと考えています。

私はこれを「絵を描く」と言っています。

論理的、合理的に絵を描くためのデッサンや技術は学んでいても、実際に筆を動かすその瞬間は直感に従っているはずです。論理的・合理性の良さ・素晴らしさを知った上で、あえて直感に身を委ねて自由に描いてみる。

「絵を描くこと」がこれからの時代に必要な事だと考えています。

結果ではなく、「過程」にこそ幸せがある

無駄かもしれない、誰にも認められないかもしれない。でも、結果や成果が最重要視される世の中だからこそ、それを無視した無駄な行為は希少です。希少であること=価値があること。

甲子園で優勝を目指して、必死に毎日遅くまで練習を積んでいる野球部員は、結果がどうであろうと、その過程で人生で最も重要で大切なものを手に入れます。私も昔、富士山に登頂したことがありますが、思い出すのはいつも「登っている途中のワクワク」です。

つまり、過程にこそ人生の幸せと充実感があります。

どうせ、周りが期待した通りにやっても成果や結果が出るかどうか分からない世の中なら、結果が出るかどうかは一旦置いといて、自分が満足する好きなことをして、充実感と幸福感を高めることが現代を幸せに生きるために大切なことであるはず、なのです。

好きなことをやっていれば、結果はどうあれ、すでに人生の目標である”幸福を手に入れている”に違いないのです。

 

 

これ、ナイショですよ。