【ウェルビーイングの測定方法】今後,経済的成長(GDP)では人(国民)は幸せになれない

ほとんどの国が、50年前と比べて圧倒的に経済的に豊かになりました。しかし、若者の抑うつの有病率は世界中のどこでも恐ろしく高く、50年前の10倍にもなるというデータもあります。

質問

豊かになる=経済的な成長だと思って各国は頑張ってきたけど、幸福度は思ったように上がらず、自殺者や抑うつ傾向な人がすごく増えているのが現実だね。

ニシノ

物質的な成長ではなく、ウェルビーイングを指標にする世界が理想かもしれません。

「天国の住人の疫病」

うつ病や抑うつ傾向は毎年必ず増え続け、もはや、「現代の疫病」は「精神疾患である」とさえいえる状態です。

自殺者は15歳頃から増え始め、日本では最も深刻な問題の1つです。その割にテレビなどのメディアでは話題に挙がることが少ないのが現状です。未成年の自殺率は過去最悪レベルまで増え続けています。

生物的な理由や遺伝学的な理由ではないことは確かですが、(50年程度では生物は大きく変わらない)何かが間違っているのです。

未成年自殺率過去最高

私たちは、祖父や祖母に、下のように現代の若者の生活を伝えることができます。

「私たちの世代では、日常生活でモノが不足して困ることはなくなりました。食べるモノは十分にあり、食べれないで死ぬことよりも、太り過ぎて病気になることを心配しなければなりません。数十年と比べてかなり多く、ほとんどの人が大学に行きます。車はわざわざ自分で買わなくても、そこら中に溢れています。家もたくさん余っています。モノには全然困りません。

物質的なモノだけでなく、文化的なモノ、つまり、音楽、小説、映画、本もエンターテイメントも、全てが多種多様に、社会の中で増え続けています。しかも、無料で気軽にそれらにアクセスすることもできます。女性の人権もジェンダーも、以前より十分に配慮されるようになりました。」

きっと、先代の人たちは「理想の天国に住んでいるみたい」と思うかもしれません。

しかし、実際は天国ではなく、”鬱や抑うつという疫病”が流行り、幸福を感じる人は決して増えていないのが現状です。

私たちはひどく贅沢になってしまったのでしょうか?

    GDP(国内総生産)は過去の指標

    産業革命の時代には、国内総生産(GDP)がどれほど国が機能しているか規程する目安として有効でしたが、今では、

    • 離婚
    • 刑務所の建設
    • 交通事故
    • 災害
    • 戦争

    など不幸な出来事が起きるたびにGDPが上昇する社会になりました。

    • 人はGDPを増やすために生きるのか?

    それとも、

    • 幸福のために生きるのか?

    どちらでしょうか。答えは明白ですよね。

     

    ウェルビーイングは今や定量化が可能です。これからの社会は、ウェルビーイングを指標とした社会を目指していくこともできます。

    そこで、個人で幸福度を測定する方法をご紹介します。

    ウェルビーイング(幸福)を測定する指標

    個人における主観的ウェルビーイングの構成は、

    1. 幸福感(気分)
    2. 人生の満足度(評価)

    から成立します。

    「気分」は動的・一時的なもので、現在の状態を測るためのものです。「評価」は、人生の幸福度を計測するもので、持続的な幸福感を測るものです。両者がバランスよく満たされている状態がウェルビーイングな状態と定義されます。

    幸福感(気分)の測定方法

    ”気分の幸せ”の測定

    今の気分を感じながら、以下のポジティブ感情、ネガティブ感情にどの程度当てはまるか、1点~6点の6段階で判定し、合計点を出してださい。

    ・全く当てはまらない…………………1 点
    ・当てはまらない………………………2 点
    ・どちらかといえば当てはまらない…3 点
    ・どちらかといえば当てはまる………4 点
    ・当てはまる……………………………5 点
    ・非常によく当てはまる………………6 点

     

    ■ ポジティブ感情
    1 活気のある
    2 わくわくした
    3 気合の入った
    4 きっぱりとした
    5 機敏な
    6 誇らしい
    7 強気な
    8 熱狂した

    ※ 8 項目の合計を出してください

     

    ● ネガティブ感情
    1 いらだった
    2 苦悩した
    3 ぴりぴりした
    4 びくびくした
    5 恥じた
    6 うろたえた
    7 心配した
    8 おびえた

    ※ 8 項目の合計を出してください

    日本人15 ~ 19 歳、1,500 人への調査の結果は以下のとおりです。

    • ポジティブ感情 平均 24.37
    • ネガティブ感情 平均 21.69

    人生の満足度(評価) 測定方法「ディーナーの人生満足度 尺度」

    ディーナーの人生満足度 尺度
    それぞれの質問に対して、1点~7点の7段階で判定してください。
    1. ほとんどの面で、私の人生は理想に近い
    2. 私の人生は、とてもすばらしい状態だ
    3. 私は自分の人生に満足している
    4. 私はこれまで、自分の人生に求める大切なものを得てきた
    5. もう一度人生をやり直せるとしても、ほとんど何も変えないだろう

    ・全く当てはまらない………1 点
    ・ほとんど当てはまらない…2 点
    ・あまり当てはまらない……3 点
    ・どちらともいえない………4 点
    ・少し当てはまる……………5 点
    ・だいたい当てはまる………6 点
    ・非常によく当てはまる……7 点

    15 歳から79 歳までの日本人1,500 人の調査では、平均18.9 点だったそうです。

    この質問は、人生を俯瞰して答える質問になっているので、今の気分に影響を受けにくいことが特徴です。測定の結果、今は幸福度が低くても悪いことではなく、”これからもっと幸福になれる伸び代がある”と捉えてください。

    とにかく、現状を把握することが最も重要なことです。点数が高いか低いかはここでは問題ではありません。

    幸福度を高めるために

    上の評価を行って、現状を把握したら、人生の幸福度を高めるために以下のことが主に役立ちます。

    幸福度を高めるために
    1. 幸福の構成要素を知ること
    2. 幸福度(ポジテイブ)を高めるワークを最低21週間、継続的に行うこと
    3. 自分の人生の意義を確認すること
    4. 強みを活かし”フロー”を生活に取り入れること

    これらの項目について、以下に詳細を記載しています。

    ①幸福の構成要素「PERMA(パーマ)」について

    ②ポジティブ感情を高める方法

    ③価値観を明確にして人生の意義を見つめる方法

    ④極限の没頭”フロー”について

    まとめ

    SNSを見ていても、経済的に裕福になれれば幸せになれる、と思っている人が多いように感じます。しかし、実際は、その価値観を元に、ここ50年間、世界は発展してきました。

    しかし、幸福度は思ったように向上せず、むしろ、鬱や抑うつ傾向な人が依然としてたくさんいるのが現状です。これは「鬱」という病気が昔は認識されていなかったことが原因だと思うかもしれませんが、「抑うつ」、「鬱」という言葉を使わずに調査した結果も同じだそうです。

    今後は、幸福になることが人生の目的(宗教はもちろん関係なく)であり、そのために必要なだけ経済的な成長や物質的な豊かさを求める社会になっていくでしょう。