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時代の変革期にある昨今。時代の変革期には、”学びほぐし”と呼ばれる「アンラーニング」が重要になります。

質問

毎日の生活が短調で同じことの繰り返し…何か変化が欲しい。

こんな風に思うことはありませんか?

以下に紹介するアンラーニングを実践してみることで、普段の生活の中で新しい視点を持つことができます。

 

結果、自分の中に変化を起こすことができ、「今までと少し違った自分」を発見することができます。

歴史に学ぶ未来予測

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鉄血宰相と呼ばれたオットー・フォン・ビスマルク(1815年-1898年)の言葉

愚者は経験に学ぶ。賢者は歴史に学ぶ。

個人の経験は、母数が1しかない研究データのようなもので、普遍性のあるものとは言えません。

しかし、歴史上で人類が繰り返してきたことは再び繰り返す可能性が非常に高いものです。戦争や飢餓、伝染病などは分かりやすい例でしょう。

しかし、「歴史は繰り返す」というのは正しいのですが、「全く同じようには繰り返していない」のが歴史の面白いところです。

 

例えば、最近認知されているシェアリングエコノミー(共有経済)の概念も、何度も歴史上で繰り返されてきたことです。

日本では、江戸時代に鎖国を行なっていたため、物資不足が常態化していました。

その中で着物を直したり、糞尿を再利用して使う、今ではシェアリングエコノミーと呼ばれるような考え方が浸透していました。

 

当時のシェアリングエコノミーと現代のシェアリングエコノミーの明確な違いは「テクノロジーの活用」です。

現代であれば、着古した洋服を「メルカリ」で販売したり、最先端の技術、インターネットやスマホアプリを使ったシェアリングエコノミーが再び興ってきています。

このように、全く同じように繰り返すのではなく「螺旋階段的に発展して繰り返される」というのが歴史を参考にした未来予測の鉄則です。

そして、テクノロジーの進化は偶発的な側面も多々ある(新しい素材が突然見つかったりするので予測が困難です)ので、簡単に未来を予測することはできません。

「アンラーニング」とは?

個人レベルでは、学びほぐし「アンラーニング」が大切になってきます。

これから自分が生きていくにあたって、不必要な過去の学び(一度得た知識や価値観)を捨てること、それが「アンラーニング」です。

 

どういうこと?と思われるかもしれませんね。以下に説明します。

何かを学習することは、頭の中にパターンを作り出していくことに他なりません。

歴史の繰り返しがテクノロジーをベースにアップデートしながら行われるのであれば、その都度、古い知見をアップデートしていく必要があります。

昔の慣習に囚われていると、先の時代を見る目が曇ってしまい、新しい世界に踏み入れることができなくなってしまいます。

 

例えば、

  • 終身雇用前提の労働
  • 正社員や公務員信仰
  • ボーナスがもらえて当たり前
  • 年功序列社会での出世のノウハウ(平穏無事にやり過ごし、時間が過ぎるのを待つ)
  • 足で稼ぐ営業や飛び込み営業

など、先の時代であれば、サラリーマンはこれらのノウハウを勉強するために時間を費やしたかもしれません。

しかし、これからの時代は、一旦学んだことを「意識的に捨て去る」ことが重要になるといわれています。

インターネット上にも情報が溢れる時代は「ラーニング」、いわゆる一般的に言われる勉強や学習よりも、必要のない知識を捨て去り、不要なこだわりを捨てる「アンラーニング」の方が重要になってくるでしょう。

昔は知識や情報を得ることが貴重で価値があったのですが、今は、ネットを見ているだけで、気が付けば不必要な学習を続けてしまうことになります。

ラーニングとアンラーニングのサイクルを意識的に回していくことで、自分を効率的に高めていくことができます。

アンラーニングが難しい理由

とはいえ、アンラーンニングを実践するのは簡単ではありません。

アンラーニングを実践して自分に変化を起こすために、精神的な以下の葛藤を乗り越える必要があります。

ホメオスタシス(恒常性維持)

人間は「現状を維持したい」という欲求・機能があります。これを「ホメオスタシス」と言います。

生物としては、安全に思考できている今は「満たされた幸福な状態」です。

生物界では、空腹でもなく怪我もせず、安らかに息をしている状態、生き残っているだけで「生きている意味」があると解釈されます。

生物としては、「種を残すこと」ことだけが使命であり、「生きるために生きている」状態が幸福な、目的を達成している状態です。

 

生物的な本能では、余計な刺激を求めず「このままでいく」という行動指針が現状最適な生存戦略になります。今まで続けていたことを続けることは人間にとっては安心する活動なのです。

なので、それを捨て、変化していくことを前提とする「アンラーニング」は心理的な抵抗感が強くなります

コンコルド効果

超音速ジェット機コンコルドを開発するために、数十年に渡り多額な資金を投入しましたが、結局完成しませんでした。これは、今までつぎ込んできた資金と時間が無駄になることを恐れ、開発事業を継続するしかできなくなってしまったためです。

今までかけた費用と時間を考えると、止めた方が良いと思っても止めることができなくなる心理効果のことを「コンコルド効果(埋没費用効果)」と呼びます。

 

飛び込み営業で得た知識や技術を膨大な時間と労力とお金をかけて学んできた営業マンは、飛び込み営業を簡単に捨てることはできません。

しかし、代償を払う覚悟ができ、今まで得たものを捨てることができて初めて、新しい世界を見ることができます。

過去に学んだことが自身の目を曇らせていることがあるのです。

アンラーニングの実践方法

アンラーニングを実践するために、具体的にはどうやっていけば良いでしょうか。

まず、自分が今までの人生で経験してきたことを振り返ってみます。

職業と経歴、親の職業や経歴も参考になります。今まで時間やお金をつぎ込み、苦労して得てきた知見やノウハウであるほど、思い切って捨てると新しい世界が見えてきます。

もちろん、全てを捨てる必要はありません。必要のない部分を見極めて思い切って捨てましょう。

リフレクション(内省)

リフレクション,内省

アンラーニングを行うにあたって、まずは”リフレクション”を行います。

リフレクションとは、日本語で”内省”の意味です。

忙しい日々の中で、静かな時間を少しだけ確保し、今まで自分が歩んできた人生を内省してみましょう。

 

時には偶然に翻弄されたりしながらも、その都度なんらかの学びを得てきているはずです。

過去の常識で、今の時代にはそぐわないものや必要のないもの、自分が盲目的に信じ込んでいるものはないでしょうか?

「昔はこれでよかった」という必勝パターンにこそ、次の時代には最も使えない悪手になることがたくさんあります。

合理的に考えて、現状にそぐわない思い込みや業界の常識を冷静に判断していきましょう。

抽出

過去に得た価値観や知見のなかで本質的に重要だと思えるもののみ以外は捨てる覚悟をしましょう。

イメージとしては、今まで得た知識をスリム化していく感じです。いわゆるダイエットですね。

本質的で普遍的な部分のみを残し、それ以外はこだわらないようにします。

 

少し分かりづらいかと思うので例を挙げると、「ブログを書き、収益を上げる」というノウハウを手に入れている場合、

  • 考える(コンテンツを作る)
  • 論理的に物事を他者に説明する
  • 文章作成
  • タイピング速度の速さ
  • マーケティング

などは普遍的なスキルで他の分野でも応用することができます。

しかし、「ブログ」というところにこだわってしまうと、身動きが取れなくなってしまう可能性があります。

なので、この場合ですと、ブログ運営を経て得た知見のうち、横に展開できるもの(他の分野でも応用が効くもの)を残して、他の部分はアンラーニングして、徐々にこだわりを忘れていくようにしていきます。

まとめ

これからは、勉強すれば良いという時代ではなく、勉強した上で不必要なものを捨てていくことも同時にしていかなければならない時代になります。

なぜでしょうか?

より時代の変化が早くなり、それに伴い個人も変化が求められる時代になっていくからです。

 

スマホが本格的に日本で普及し始めたのが2008年。

それからたった10年ほどで世界中で日常生活の中でなくてはならないものになりました。それだけ変化が早いのです。

 

情報が溢れる時代には、不必要な情報や学びをあえて捨て去り、柔軟に自分を変化させていくことこそが重要です。

定期的に振り返り、学びほぐしを行い、自身のアップデートを行なっていきましょう。私も常に何か捨てるものがないか、随時振り返りながら進んでいきたいと思います。