
精神障害者手帳の交付を受けるメリットはどこにあるのでしょうか?
精神障害者手帳の正式な名称は『精神障害者 保険福祉手帳』です。
精神障害者保険福祉手帳の交付を受けることで得られるメリットは、主に3つあります。
- 障害者雇用枠での採用・転職
- 所得税・住民税、自動車税などの各種控除(減税)
- 鉄道・バスなど公共サービスの割引
です。
3つのメリットについて、
- 厚労省
- 国税庁
- 公益社団法人 全国精神保険福祉会連合会
の情報を元に、詳しく説明していきます。
障害者保険福祉手帳を持つメリット
上述のように、大きなメリットは以下の3つになります。
①企業の障害者雇用枠に応募できる
最近では、企業における障害者雇用枠が増大しています。精神障害者手帳の交付を受けておくことで、障害者雇用枠に応募できることは大きなメリットです。

最近では、一般雇用枠で応募するより、障害者枠で応募する方が断然就職しやすいよ。

上の図の通り、民間企業の障害者の雇用状況は12年間連続で過去最高を更新しています。
民間企業で障害者の雇用が増大している要因は主に3つあります。
- 労働者人口の減少
- 精神障害者数の増加
- 政府の障害者雇用促進法の推進
です。
特に3.政府の雇用促進策、障害者雇用促進法の推進が顕著で、平成30年4月1日に障害者の法定雇用率(企業が障害者を雇わなければならない割合)の算定方法に”精神障害者”という文言を加えています。
少子化の影響で年々減少している労働力の補填を図っているのだと思われます。

さらに、以下の写真(画像引用:厚労省の資料)のように、障害者の法定雇用率も、平成30年4月1日から、
- 民間企業
- 地方公共団体
- 都道府県などの教育委員会
で全体的に+0.2%引き上げられました。※例:民間企業 2.0%→2.2%
法定雇用率を下回ると、企業は納付金(罰金のようなもの)を納めなくてはならないため、積極的に障害者を採用しようとしています。

こういった要因により、民間企業や教育機関での障害者枠での採用数が年々増加しているのです。よって、就職や転職、就労という点で、精神障害者保険福祉手帳を所持していると採用されやすく、メリットがあるといえます。
②所得税、住民税等の控除が受けられる
国税庁のサイトによると、「障害者控除の対象となる人の範囲」の3に、
(3) 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人
このうち障害等級が1級と記載されている人は、特別障害者になります。
という記載があります。
この要件を満たし、精神障害者保険福祉手帳の交付を受けると、年間27万円の所得税及び住民税の控除が受けられます。(1級の方は特別障害者となり、年間40万円の控除となります。)
年間所得から27万円引いた状態から課税される控除が受けられるということになります。

また、一部の地方自治体では自動車税の減税もあるため、精神障害者保険福祉手帳を交付された際に各市町村に確認してみると良いでしょう。
③各種公共料金等の割引サービスが受けられる
公共交通機関の割引
精神障害者保険福祉手帳を持っていると、
- 鉄道
- バス
- 一部タクシー会社
などの公共交通機関の割引が受けられます。

下の図は大阪の場合の鉄道料金の割引表です。割引率は5割となっています。残念ながらJRでの割引は今のところないみたいです。(2018年8月現在)

バスも大阪の場合、以下のように5割引となっています。タクシーは限られた会社のみですが、割引があるようです。

スマホの基本使用料の割引
スマホの基本使用料の割引も受けられます。
- ハーティ割引(NTTドコモ)
- スマイルハート割引(au)
- ハートフレンド割引(ソフトバンク)
などがあり、ハーティ割引では、基本使用料金が1700円割引になるなど、お得になるケースもあるようです。ご自身の契約しているキャリアに一度問い合わせてみると良いのではないでしょうか。
まとめ
精神保険福祉手帳を持っていると、上述のように沢山のメリットがあります。申請するには医療機関に掛かったり、手間も時間も必要ですが、それ以上にメリットがあるのではと思います。
対象の方は、申請を検討してみることをおすすめします。