収入と幸福度

幸せな状態というと、皆さんはどういった状態を想像するでしょうか?きっと、お金持ちになってなんでもしたいことができる状態を想像する人も多いと思います。しかし、本当にそうでしょうか。

質問

お金持ちになったら幸せになれるかなぁ?

ニシノ

研究結果から、年収800万円程度までは幸福感と相関関係で上昇しますが、それ以上はあまり関係ない事が分かっています。

お金と幸せの関係

地位財,非地位財
※幸福学による分類

お金は人生の幸福度との関係性が高いように感じる人も多いと思います。「お金を持てば幸せになれる」と思う方も多いのではないでしょうか。

確かに、収入が少なく(お金がなく)衣食住に困っている状態では幸せを感じることは難しいですよね。

では、収入が増え、生活するのに十分なお金があると幸せになれるのでしょうか?

幸福度は年収約800万円で頭打ち

結論としては、プリンストン大学の調査によると、日本の場合、年収約800万円程度までは幸福度が比例して上昇するが、それ以上は幸福度の上昇は緩やかになるということが分かっています。

また、お金は、幸福学研究では「地位財」と呼ばれ、他者と比較することを前提とした資産です。

お金を使ってもその時は一時的に幸福度が著しく上昇しますが、すぐに元の幸福度に戻ってしまうことが分かっています。

例えば、高級車を購入しても2、3年もすれば運転しているときに飽きてしまい、普通の車に乗っている感覚になってしまうことは容易に想像がつくと思います。

お金はある程度必要ですが、それ以上は人生の幸福感とは別の話になってきます。

収入と自由な時間とのバランスが重要

そもそも、自由な時間と労働は相反関係にあります。

収入を増やすためには、別記事に説明する「FIRE」のような生き方(投資で収入を得る)を戦略的に行わないと、いつまでも労働をしなければなりません。

社会的に、職場が「働いていて楽しい!」と心から言える”幸福を追求する場所”になれば良いですが、現状ではまだそこまで辿り着けていないのではないでしょうか。

年収800万円以上になると、仕事が忙しくなり、収入が増えても自由にできる時間がなくなっていくことが幸福度が上昇しにくい原因と思われます。

本当に自由になるためには、まず労働集約型の労働から卒業する必要があります。

▶︎「労働集約型の仕事から脱却すること」を目指す方法

 

お金をある程度持ち、なお自由な時間をたくさん持っていることが心の余裕を生み、幸福度を上げるために必要だと考えられます。

一方で、時間があり過ぎて暇を感じ、充実感がなくなってしまっても幸福感を感じにくくなるので、結論としては、時間とお金のバランスが重要ということになります。

お金と人生の満足度は必ずしも一致しない

2004年に、マーティン・セリグマンとエド・ディーナーの「人生の満足度を測る調査」が行われました。

経済誌フォーブスで最も裕福なアメリカ人に選ばれた3000人と、平均的なアーミッシュ(自給自足の伝統的な生活を送る宗教団体)とイヌイットの平均点がいずれも5.8点で同じだったそうです。

経済的な面ではかなり差があるにも関わらず、人生の満足度はほぼ同じという結果でした。

私たちは、お金の幸福への影響を過大評価し過ぎているのかも知れませんね。

GDPと幸福度の関係性

日本のGDPと生活満足度の関係性を表したものが下図になります。

GDPと幸福度

GDPと幸福度は相関関係にあるとはいえず、2005年、GDPが比較的大きく上がってるにも関わらず、生活満足度は過去最低を記録しています。

現在の日本のテレビや経済ニュースを見ていると、GDPが上がれば国民が幸せになると勘違いしてしまいがちですが、実際はそんなことはなく、収入と生活の満足度を別々に考慮し、バランスよく高めていくことが重要になります。

幸せとお金の関係性 まとめ

お金と幸福の関係性

人生を豊かにするためには、仕事をしながら多様な能力(特に自分でお金を稼ぐ能力)を身に付け、年収800万円程度まではお金を稼ぐ努力を行い、それ以降は、

  1. 精神的・身体的な健康
  2. 自由な時間
  3. 人との繋がり

にも時間とお金をたっぷり投資して生きていくのが理想です。

上述のことを意識することで、お金だけを追い求める人生よりも幸せに生きることができる可能性が高いといえます。

年収800万円を達成するのはなかなかハードルが高いですが、結婚してダブルインカム(夫婦共働き)、世帯収入で800万円を目指せば1人400万円づつ収入があれば良いので、それほど難しいことではないかもしれませんね。

少子化対策にもなるので、社会的にもグッドな生き方といえるかも知れません

幸福学研究では、「非地位財」と呼ばれる「心、安全、健康」が長続きする幸せである、と定義されています。

また、世界でベストセラーになった、今後の人生100年時代を生きるための戦略を記した「LifeShift(ライフシフト)」でも、「無形資産」の重要性が説かれています。

無形資産とは、

  1. 生産性資産(能力)
  2. 活力資産(健康)
  3. 変身資産(人脈)
  4. パートナー(結婚相手)

のことです。

幸福学研究でも「Life shift」でもほとんど似たことが言われており、間違いないのではないでしょうか。

男の子

きっと、これからの「成功」は、金銭的収入が高いことではなく、「成幸」つまり、”人生の総合力”が高いことを指すようになるよ!