
「何かの作業に集中していて、気が付くと何時間も経っていた」という経験はありませんか?この経験を心理学者のミハイ・チクセントミハイは「フロー:flow」と呼んでいます。フローは幸せに生きるために重要な概念です。今回はそんなフローについてご紹介します。

仕事もプライベートもそれなりに頑張っているんだけど、なぜか毎日むなしいんだよなぁ。ワクワクすることがないというか…。

”フロー”を日常生活に取り入れることができれば、熱中してワクワクしながら過ごすことができますよ!
- ”フロー”=熱中・没頭して物事に取り組む方法が分かる
- 日々の充実度が向上する→結果、幸福感も上昇する。
極限の集中状態「フロー」
何かに極限まで集中している時、「自分が何かの流れに流されているように感じる」状態、つまり「フロー:flow」と呼ばれる状態になります。
無我夢中で自我を忘却し、没入し、この状態にあるとき、時間の感覚がなくなります。
分かりやすい例でいうと、プロ野球選手が「球が止まっているように見えた」という話を聞いたことがあると思います。スポーツ分野では”ゾーン”と呼ばれたりもします。その状態がまさしくフローの状態です。
なぜフローが重要?
人が幸福を感じる要素は科学的に解明されており、「PERMA」の5つの要素が挙げられます。
PERMAとは以下の5つの事柄の略称です。
- 前向きな感情(positive)…どんな時にポジテイブな感情が沸きますか?
- 熱中(engagement)…熱中していることはありますか?どんな時に時間を忘れるくらい夢中になりますか?
- 人間関係(relationship)…誰といるときにほっとしますか?楽しいですか?大切にしたい人は誰ですか?
- 意義(meaning)…意義のある活動だと感じることはなんですか?やりがいを感じ時はどんな時ですか?
- 達成(achievement)…どんな時に達成感を感じますか?成し遂げたとして、誇りを感じるものは何ですか?
このうち、フローは、
- 2、熱中
- 4、意義
- 5、達成
に大きく関係しています。
つまり、フローのメカニズムや発生機序を知れば、意義を感じることに熱中し、目標を達成することで、より幸福になれる可能性が高くなるということです。

クライアントの話を聞いていると、日常生活に「熱中、意義、達成」の要素が足りていないことがすごく多いよ。
フローのメリット
フロー状態になれるようになると、たくさんメリットがあります。
1、短時間での高い生産性が両立する
これからの日本社会で必須の課題、「生産性向上」にぴったりです。
フローをコントロールできれば、短時間で驚くほど高品質な仕事ができるようになるといわれています。世の中でビジネス分野で成功している人は、必ずフローを経験しているはず。
2、幸福感が上昇する
フロー中は幸福感はありませんが、終わった後に充実感と共に幸福感が上昇するとされています。「う〜ん、気持ちいい!」という感じですね。
フローが発生する7つの条件
私は過去に、”フローが幸福に関係している”ということを知らず「楽で快適なものだけ追求していれば幸せになれる」と思っていました。
気分が乗らない、めんどくさいことを排除し、自分の周りの出来事が全て快適な事柄で包まれるように、1年ほどかけて環境を再構築しました。仕事も人も嫌なものは関わらないようにして、あらゆる面で断捨離しました。
しかし、やっと快適なものに囲まれても、「何かむなしい…」という想いが拭いきれませんでした。結果、人は、人生に熱中・没頭や意義、目標を強く求めるものだと痛感したのです。
人生を充実させるためには、自分が「これは意義がある!」と思うことに熱中して、一生懸命取り組み、小さくても良いので何かしらの目標を達成していく必要があります。
今、私は、このブログを通してwell-beingな考え方を広めることに熱中して取り組んでおり、以前よりも充実した毎日を送れています。「フロー」を経験することで、人生に「充実」が生まれることを実感しました。
ご飯と家があれば、物理的に人は生きていけますが、well-being、つまり、より良く幸せに生きるためには、日々の「充実」が重要なのです。
ぜひ皆さんにも、日々の充実を味わって欲しいと強く思っています。
人生で充実感を得るために必要なフロー状態が発生する条件を下記にご紹介します。知っているだけでもフローになりやすくなると言われています。
1、ゴールが明確で進捗がすぐに分かる
自分がどの程度ゴールに向かって進んでいるか、今何をするべきか明確に、瞬時に把握できる。
2、完全に集中している
今していることに集中し、他のどんな情報にも惑わされなくなる。
3、行為と意義が融合する
野球選手であればバットなど、使っている道具と一体化するような感覚を持つ。
4、自己の認識や自己意識を喪失する
没入しているため、他の人の意識や評価が全く気にならなくなる。
5、コントロール感覚がある
行っている行為がコントロールできているという感覚があり、失敗への不安がない。
6、時間が歪む
数分が数時間のように感じたり、逆に一瞬が数分のように感じたりする。
7、活動が自己完結的になる
活動そのものが目的になる。つまり、「したいからしている」状態になる。
フローチャンネル
フロー状態になるために重要なのは、
- 目標
- 挑戦
- スキル
の3つです。
目標が高すぎてもモチベーションが上がりませんし、低すぎても退屈に感じるため作業に集中できず、雑念が浮かんでしまいます。
スキルが明らかに不足している場合は、「本当に自分にできるのだろうか」と不安になりやすく、集中することが難しくなります。
目標は少し難しいくらい、スキルも何とか手が届く範囲の課題に挑戦することでフロー状態になりやすくなります。この範囲のことを「フローチャンネル」と言います。

課題が程よく、スキルがやや難しいかな?という範囲の目標を持つとフロー状態になりやすくなります。
具体的にフローを体験する方法
仕事でも趣味でも良いので、あなたが取り組んでいて没頭できること、つまり、
- やる意義を感じること(自分以外の人が意義を感じないことでもOK)
- 好きなこと…単純に行為が楽しいこと
をイメージしてください。
イメージしたものに関して、自分が今できることよりも少しだけ高い目標を持ってみてください。
できそうにないと感じるようだったら少し目標を下げ、簡単そうだと感じる場合は目標を上げてください。
少しづつ目標を変えながら、練習し、夢中になれる範囲を探していくことで、自身のスキルがどの程度なのか把握できます。
この経験を繰り返すことで、フロー状態を体験しやすくなります。
また、自身の強みや才能を使っている時によりフローを体験しやすいともいわれているので、自身を深く見つめることも大切です。
私の経験談では、ギターの演奏で少し自分には難しい曲をコピーしようと練習している時にフローを体験しました。
普段であれば、1時間も練習すると疲れて休憩を取りたくなるのですが、その時はすごく気持ち良くて、3時間くらい夢中で練習していたことを覚えています。
まとめ
フローが起こる機序を知っておくことで、フローを経験しやすくなります。
結果、幸せになれる要素(PERMA)の、
- 熱中
- 意義
- 達成
が満たされ、より幸福に生きることができます。
フローを経験するためには、適度に難しい課題であることが重要です。(フローチャンネル)
今の時代は「情報過多」です。
SNSやネットに日常的に接していると、物事を複数同時にこなす癖が付き、知らないうちに頭の中が雑念でいっぱいになってしまいます。
生活の中で意識的に、自分だけが意義を感じるものに没頭する時間を取り、フローを体験することで、日常的な満足度は格段に向上します。(他人が何と言おうと気にしないで下さいね。)
複業やマルチタスク化した日常を4年続けてきた私が保証しますw
幸せに生きるためには、「快適+満足」が必要です。後者の「満足」という部分で、今回ご紹介したフローは非常に重要な概念になるので、ぜひ試してみてくださいね。
“幸せになるための集中・没頭状態”フロー”が成立するための7つの条件” への3件のフィードバック